ナポリからシチリア行きのフェリーに乗り込んだ。ナポリの夜景が徐々に遠ざかっていくのをデッキから眺めていると、同い年くらいの男の子がタバコに火をつけようとしていた。だが、ライターはガス切れらしい。僕はマッチを差し出した。
普段はタバコを吸わない僕だが、旅先ではなめられないように、というしょうもない理由でタバコを買うこともある。イタリアでも夜道を歩くときは、イタリア人のようにタバコをふかしながら歩いたりしていた。そういうことでマッチを持ち合わせていたのだ。
「ありがとう。どこからきたの?」
「日本」
「僕は大学で日本文学を専攻しているんだよ。源氏物語とかね。」
結構、難しいほうの日本文学だ。僕も詳しくはわからない。これは話あわせるの大変だぜ…。もう少し勉強しとけばよかった。
「ところで、日本人ならば、ミクは知っているよね?」
ジャパンカルチャーといえばヤッパリこっちよね。こっちなら少しはわかりそうだ。
「ミクはあまり詳しくないんだ。アニメならわかるよ。最近見返したのは、クラナドだな。」
「 智代 いいよね」
「いい…」こいつ…できる…
シチリアへ向かう船の上、ナポリの大学に通うシチリア人とクラナド談義。
「そういやさ、日本じゃナポリは危ない危ないって有名なんだけどさどうなの?」
「ナポリハ、キケン、スコシヤバイ」
あーやっぱりそうなのね。ナポリはやっぱり危ないらしい。
シチリアは、やっぱりすこし雑多だな。ワクワクしてくる町並みを散歩しよう。
路地には洗濯物とか室外機とか、アンテナとかあった方が生活感があって好き。
パレルモから列車で隣町まで足を伸ばしてみた。
小さな町だが、印象的な町だった。町の名前は忘れてしまったけど。
夜にはパレルモに戻る。夜のシチリアに散策へ。
現代美術?
サッカー観戦しているらしい。すごい盛り上がりで、町中がザワついている。