車を走らせていると、フォートオーガスタスという運河のある村についた。ネス湖のほとりにある美しい村、丁度キャンプ場も隣接されているので、ここで最後の夜をすごすことにした。
村の中心には、美しい運河があり観光で栄える村のようだった。名前からして、あまりに出来すぎた村を暫く歩いていると、飽きてきてしまった。綺麗すぎて飽きがくるなんて贅沢なことだ。
こんな600人くらいしか住んで居ない村にも、PUBはあるみたいだ。夕飯とウイスキーを飲みに行こう。
どうやら弾き語りライブをやっているようだ。繁盛している店内の奥の方、常連のおじいさん達がウイスキーをストレートでガブガブ飲んでいる横に陣取る。
「ジンのカクテルおすすめください。」なんて英語で頼んだつもりが、ロックでボンベイサファイアが来てしまった。あまり美味しくない。なにかで割ってもらわなければ…。ジン系のカクテルってなにがあったかな。あまり酒に詳しく無かったのだが、一生懸命脳みそを回転させると、「ジントニック」というワードが頭に思い浮かんできた。
「トニックプリーズ。」店主は、やっぱりジンのロックはきついだろうとでも言うような、しかめ面で、トニックを継ぎ足してくれた。
仕事を手伝っている息子とニヤリと笑いながら 「御代は結構。今夜は結構儲かってるからね。」
ありがたくジントニックをいただきながら、音楽に耳をかたむけることにした。
どこか聴き憶えのあるメロディが流れてくる。スコットランド民謡は意外にも日本人に馴染み深く、耳にしていることが多いのかもしれない。有名なのでは「蛍の光」のメロディなどだろうか。ウイスキーを頼み、「この曲は何?」なんて、店主の娘と話して時間を潰していた。
現地流にウイスキーをストレートで飲みほせば、大分酔いが回ってきた。ちょっとぽっちゃりの店主の娘が可愛く見えてきてしまった。口説き始めてしまう前に、店を後にしなければならない。
ひんやりとした夜気を感じながらスコットランド最後の夜を過ごす。
朝、目を覚ますとフォートオーガスタスは、霧に覆われていた。目を覚ます為に散歩にでかける。
ネス湖が、鏡になっている。