旅をしていると、普通に生きていたならば、一生出会わない、見る事もない人に出会う。旅先で出会い、その場で別れたら、再会することはない。 そんな出会いは、どこか儚さを纏っている。
旅先で、一目ぼれをするなんて事もある。一目ぼれといっても恋愛感情とは少し違う。だけど、適当な言葉が見つからない。良い言葉に出会うまでは一目ぼれと表現することにした。
バス移動では、お土産屋さんに寄ってトイレ休憩と商売抱き合わせなんて事がよくある。お土産に興味がない僕は、いつもあたりを見渡し面白いものを探しに行く。
道の向こう側には、カシューナッツ売りの女の子が一人。赤いドレスと褐色の肌に心を奪われていた僕を見つけると、嬉しそうに立ち上がり、ぴょんぴょん飛び跳ねる。
「こっちこっち」
営業スマイルとはわかりつつも逆らえるすべもなく、僕は引き寄せられてしまった。
女の子は、セットだとお得だよと異邦人に一生懸命セールスをかける。僕はセットを買うから、写真を撮っていいかなと尋ねてパシャリ。カメラに少し緊張している、いくつかもわからない女の子の一生懸命な仕草が胸に響く。
僕はカシューナッツを、女の子はお金を手にして、さようなら。それで終わり、そんな出会い。
小学生くらいだろうか、白い制服が目にやきつく。カメラを向けると、4人で集まる。右から2番目の女の子は、自分の友達の肩に手を回し、ちょっとキリっと決める。なんかとても、可愛かった。
お寺の会議室のような部屋には子供達が集まっていた。社会科見学の待合室だろうか、と思っていると、後ろを振り向いた女の子達が。
こんな光景が凄く感情を動かしてきたことを、憶えている。
人間ばかりに見惚れるわけではない。美しい動物にだって同じように一目ぼれしてしまう。こんなに凛々しいという言葉が似合うネコには初めてお会いした。
旅して、心惹かれる、見惚れる光景や人や動物に出会う。そして、さようならして、二度と会うことはない、そんな出会いばかり。