誰もが、相対性理論という名前を聞いたことがあるだろう。
ただし、理解している人は多くないのではないか。なにせあれは、常識という殻に閉じ込められた我々には難解すぎる。
この例え話が有名だろう。鏡を持った人が光の速度で移動していても、鏡に自分が移るという話だ。
常識で考えたとき、光速がこの世界の最高速度であり、その速度で移動していれば、光は鏡に届く前に自分自身が移動を完了しているのだから永遠に鏡に自分の光が到達することはないと思ってしまうがどうもそうではないらしい。
この問いをアインシュタインは数式で証明したという。
いまいち、納得のいかないすんなりと理解できない話だ。
また、アインシュタインは重力波という存在を提唱した。これは、質量をもった物体が空間で動くと発生するという。正体は未だにわかっていないが、重力子という素粒子が存在するのではという仮説もある。
人間が世界の空間を把握するすべは現状、電磁波一つにすぎないのではないか。
3次元から4次元を観測することはできない。我々は、まだ何も知らない。
もしかしたら、光より早いものもあるのかもしれないが、その存在を我々は知覚できないだけかもしれない。
最近はやりの量子コンピューターなんてのは、離れた場所にある量子が同時に同じ性質になるみたいな仕組みを利用しているらしい。
そこには速度が存在しない。
いやそもそも、今使っているパソコンを動かしている電気。電気って何?
電気とは電子。電子ってなに?電子とは素粒子。素粒子って…
電子に大きさは存在しないらしい。大きさが存在しないとはどういうこと?
3次元空間において大きさが存在しないものが存在し得るという。奇妙だ。
そもそも、発電所で発電している電子はどこにあった電子なのか?
交流電源とはなにか。交流とは、電子が寄せては返す波のように動きを伝えることで電圧をおくることらしい。では電子機器を動かしている電子はどこの電子?
電子機器内の自由電子であるとすれば、その自由電子を使い切ったらどうなるの?
そもそも電子を使うとどうなるの?
考え出せばきりがない。あまりに五里霧中な世界で生きている。
私たちは私たちの世界を構成しているといわれる原子すら見たことがない。
原子は中性子・陽子・電子で構成されているが、中性子と陽子の隙間には何があるの?真空?
この世界はスカスカで、隙間ばっかりだ。その隙間がなんなのかもわからない。
今もどこかですごい学者が、この世界の真理を見つけるべく歩み続けているだろう。
私にはそんなことはできっこない。私は、ただ人間としての営みを絶やさないだけしかできない。
いずれ人間はこの世界を理解できるのだろうか。
そんなことを考えながら、日本に暮らす平凡な男は目の前の仕事に追われながら、女の尻を追いかける。ただの動物としてただの人間として生きるだけ。