太陽が沈むころ、丘に登るといいよ。そう宿の店主に勧められた。
丘には、たくさんのモロッコ人がたそがれていて、アフリカの太陽は荒野の向こうに沈んでいった。
「そのコーラをくれ!」そう声をかけてきた子供に、ぽいっとペットボトルをあげる。金をくれといわれるのは嫌いだが、わけてくれといわれるのは其処までいやではない。
俺らの写真をとってくれとポーズを決める。フェイスブックやっているかと聞かれた。インターネットの普及が世界を変えたことを実感する。
やってない。そう答えて丘を降りた。そしてこけてズボンに穴を開けた。
この日は早起きをして、メクネスという隣町へ。メクネスは僕が好きなアーティストである、オリジナルラブの曲KISSのPV撮影地という噂がある場所である。
どうやらメクネス近辺の遺跡で撮影したような気がする。少なくとも僕の持っている現金では見に行くことはできなかった。残念。
写真見返して気づくこと。あの魚のカップ可愛い。欲しかったな。
焼き物の街であるからだろうか炭の量り売り?
メクネスはFESより観光地としては栄えていないからだろうか。ゆったりと過ごせた気がする。嫌いじゃないな。
FESに戻ると煉瓦と深い蒼空が僕を迎えていた。
この空気感に包まれて、一息ついた。
ここがどこだか、地図を見てもわからない。迷宮のどこか。どこでもない四辻にて。