※注意

何故かコルドバとグラナダがごっちゃになってました。以下すべてグラナダのことです。なぜだろう…

飛行機に乗っているあいだ、僕はずっと眠っていた。というのも、日本時間に合わせ深夜三時におきて、クレジットカード会社と電話のやり取りをしていたからだ。結果としては、まったく無意味で、今後も僕は現金不足状態が決定している。

「もうそろそろコルドバグラナダです。」

キャビンアテンダントは忙しそうに着陸準備をしていた。スペインのLCC ” Vueling ” を使うのはこれで2度目だ。可もなく不可もなく移動をするだけなら十分だと考えているあいだにも、飛行機はアンダルシアの地に着陸した。

コルドバグラナダに到着するとすぐにバス乗り場へ急がねばならなかった。

「シティーセンターまでいくバスはこれかい?」そう尋ねると運転手は黙ったままバス料金表を指差した。

コルドバグラナダの街に到着したのは午後5時ころだっただろうか。とりあえず宿を目指して歩くのが、僕の旅の始まりの儀式だ。

コルドバグラナダではやらなければならないことがあった。正確にはやりたかった事、英語だと “want” であるが、予約をした後ならば 予約を守る必要性が生じている。だから”must”で表現するのが妥当だと思っている。

僕が過去にやりたくて、現在やらなくてはならなくなってしまったのは、”フラメンコ鑑賞”である。22時スタートのショーに間に合うように行動しなければならない。宿へ到着し、しばらく休憩したら腹ごしらえにでかけることにした。

「君は何が欲しいのかい?」僕がたまたま入ったバルで、席に座ると店員が話しかけてきた。「ビールとメニューをくれるかな」店員の彼は、めんどくさそうに、ほかの席にあったメニューをこちらへよこす。

メニューはスペイン語で、かろうじて英語が読めるという僕にとっていは、なかなかわかにくい。かろうじてわかるマッシュルームのガーリック炒めというタパスを注文した。タパスと表現したが、実際にタパスが何を指す言葉であるのかは、まだわかっていない。

しばらくすると皿いっぱいにエリンギのような傘の大きいキノコが炒められたものが運ばれてきた。「これはマッシュルームではない。少なくとも日本では、マッシュルームとは呼ばない種類だ」店員にわかるはずもないが日本語で口からそんな言葉をつぶやいていた。

こんな大量にキノコを食べたらお腹を壊してしまう。だが、出されたものは完食するのが信条である。

夜のコルドバを散歩しながら、タブラオと呼ばれるフラメンコ劇場兼バルへ向かっていた。淡い街灯で照らされている街路樹をふと眺めると、エンドウのようなものがなっていた。ガーリックと油とキノコしか食べてない僕からしたらなんだかご馳走に思えてきた。

またもや落書きを見つけてしまった。思わずファインダーを覗き込む。

夜のコルドバは、どこかベネチアを思わせるような不思議な雰囲気に包まれていた。お目当てのタブラオへ到着した。時刻はおよそ9時40分ほど。

「今日、ここでショーの予約をしていたものだけど」緊張しながら予約書を受付に差し出した。

「今日の講演はキャンセルになったの。明日きてくれる?」受付にいた女性はもうしわけながらそう告げてきた。しかし、僕は明日にはセビリアという別の街にいかなくてはならない。

「ごめんなさいね」

「やれやれ、なら仕方ないね」僕は意気消沈して、店を後にする。店先では、日本人の観光客がテラス席でお酒を飲みながら喋っていた。彼らは、ここに何泊もするらしく、今日のキャンセルも全然問題ないと話していた。

帰り道、僕は違うタブラオを見かけた。外からのぞくとガラガラで門前に男が一人で突っ立っている。

「今夜はショーはあるのかな?」いつもなら、諦めて帰っていたところだが、今日の自分は少し諦めが悪いようだった。

「22時からだ。20ユーロ、現金のみだ。」男がそう告げ終わるまえには、ポケットからなけなしの現金を差し出していた。

少し遅れてツアー客などが増えてきて満員になったようだった。しばらくしてショーが始まった。力強い声とタップが心を震わせる。僕は、僕にとってフラメンコが、「must」から「want」へ戻っていたという事実に気づき、最初に予約していたところがキャンセルされたのも良かったのかもしれないと考えていた。だが、夜中の3時から起きっぱなしというのが思いのほか響いていたのと、サングリアで程よく酔っ払っていたからだろうか。後半の記憶が無いということもあわせて記しておく。

コルドバにきたならば、アルハンブラ宮殿を見なければならないとは良く言われている。僕はまったくのリサーチ不足から、チケットを予約していなかった。無料で入れるエリアを見学して終了。中は見れていない。だが、僕はこういった未遂や未経験という要素を旅先に必ずいくつかは散りばめるようにしている。素敵な場所であるならば、また訪れる理由があったほうがいいと思っている。

バス移動をする。アンダルシアを横断してセビリアという街へむかおう。

ちょっと村上春樹を意識して書いてみた。最近、読んでなかったからイマイチだけどね。村上春樹を最初に読んだのは、”羊をめぐる冒険”だったかな。いやいやのうみそおとこというワードをなぜかずっと覚えているから”不思議な図書館”だったかもしれない。

そういえば、キューバで出会った日本人の男は小さいリュックサック一つで旅をしていたが、その中から”騎士団長殺し”が出てきたときはたまげたな。いやいやハードカバーを旅に持ってくるとは凄いガッツだなと。僕は地球の歩き方すら持ち歩くのが嫌だ。

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