パリの女

 パリにつき、宿まで移動するためにバスに乗り込む。美しい女性が僕の前に立っている

 パリの女の肌はまるで、湿っているようだ。手を押し当てれば濡れてしまうのではないかと錯覚してしまう。世界各地を見て回っているが、あのような魅力的な肌は、パリジェンヌのみである。パリジェンヌ全員が濡れた肌というわけではないが、一定数存在を確認している。言葉で表現するのは難しいが、とにかく魅力的な肌だった。

 パリの女は流し目が得意である。一人で、シャンゼリゼやセーヌ川沿いを歩いていると、そこら中に、”キッス”してるカップルがいる。「羨ましい?」とでも言いたげな表情で、男とキスをしながら僕を流し目で見つめてくるのである。

 普通のキスは目をつぶるはずが、 顔と顔がクロスになるキス中の目のやり場は、物欲そうな寂しい日本人へ向けられる。なぜキス中に俺なんか見るんだよ、と文句でも言いたいが、本当に羨ましくてしょうがない。恋人達の街、花の都パリ。恋人が欲しい、そう思わせる街だ。

 パリの女の人の肌は、濡れている。それが第一印象だった。ほっぺたを指で押してみたら、水が染み出てくるのではないだろうかと錯覚するような肌質だ。

 恋人達の街パリ。馴染みのある表現だが本当だろうか。実際に行くまで疑っていた。だが、道を歩けばそこら中にキッスをしてるカップルがわんさかいるのである。公共の場でキスをする文化のない日本人そして彼女のできない僕からしたら目に毒な光景が広がっている。

 さらに理由はわからないが、パリの女は、道を歩く僕を、彼氏とキスしながら流し目で見てくるのである。目が「羨ましいかしら。ぼうや。」と語ってくるのだ。

パリは曇り

 パリ滞在中は雲が多かったせいか、モノクロのイメージだった。実を言うと、パリは途中で寄ってみただけの都市だったりする。1泊2日の超短期滞在で、心残りの多い場所だ。女の子とフレンチを食べて見たかったし、オルセー美術館は休館日だったし、曇り空で、夜中にタイムスリップもできなかった。

 ルーブル美術館を見てまわって気付いた事がある。僕は、キリスト教系の宗教画に興味がないということだ。それに、モナリザを見てもあまり感動した感覚がない。どちらかというと印象派やダリといった面白い絵が好きなようだ。ダウィンチコードといった小説は好きだったため、それなりに楽しめたのだけれど。僕は、美味しい料理を食べる方が好きなようだ。花より団子。モナリザよりワイン。

 パリとワインとセーヌ川

燃えてしまった修道院がある島

 シャンゼリゼ通りで、フレンチを食べるためにレストランに入った。フランス語はわからないので勘で注文する。もちろんグラスワインも注文した。運ばれてきた料理は、お肉にフランクフルトの衣のようなものがついている料理だ。ワインを飲みながら味わったが、特に印象には残っていない。店を出て、シャンゼリゼ通りからセーヌ川に沿ってを歩いていると、どうにもこうにも眠くなってきた。体質的にワインには弱いのかもしれない。

 セーヌ川沿いでギターの練習をしている人や写生をしている人がいるような場所のベンチを探し出した。起きた時に財布がすられてませんようにと祈りながら、ワインに導かれた心地よい昼寝を堪能した。

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