就職して、初めてのお盆休暇がやってきた。10日くらいの連休を確保できたということで、諦めていた旅にいける可能性がでてきた。
風に押されて、足を踏み出そう。気づけばそこは、異国の地。
アイルランドの首都、ダブリン。ちょっとだけロンドンみたい。
でも結構こじんまりした都市だ。ロンドンほどの重厚感はないが、ゆったりとした時間が流れている感じがした。
夜はもちろんパブめぐり。ムール貝とギネスを頼んでみた。ロンドンは大英博物館近くのパブで一回飲んでから敬遠していたギネスだが、味はいかに…。
と思ったら、かなり美味しい。泡はクリーミーで普段エールを飲まない僕でもぐびぐびいけてしまった。ロンドンに上陸した食材は美味しくなくなる呪いとかあるのかしら。
アイルランドでも車を借りてドライブ。日本にはない光景を探しに行こう。
ただひたすらに草原を走る。景山民夫は、アイルランドにはまだ妖精がわんさかいると言っていた。
僕も、小人の一体二体くらいはみれるかもと思っていたけれど、全然気配なし。というかこんな話は誰からも相手にされないだろう。でも「ちょっと不思議」を信じてたほうがちょっと面白いと思うのよね。
アメリカドライブでは、山下達郎がフェイバリットソングだったが、アイルランドだと新居昭乃を結構聞いていた気がする。
新居昭乃は、「ARIA」で知ったが、一番は「ゼーガペイン」での出会いだろう。
やっぱええやね。
島に吹く風はやっぱりいいなぁ。
ドライブの鉄則は近道ではなく、走りたい方向へいくことだ。
点と点を移動する観光もあれば、線をなぞる旅もある。僕は線をなぞり旅がしたい。
道沿いのカフェに寄る。コーヒーを飲みながら、雲の動きを眺める。雲の流れは僕を浮き足立たせる。
そしてエンジンをかける。
さわやかな廃墟。
なんか、アイルランドの田舎をドライブしていると人口は少ないし、寂しい気持ちがしてくる。ちょっとメロウな雰囲気に浸りながら走りたい。攻殻機動隊の曲で、「Where does this ocean go?」という曲が雰囲気に合ってた気がする。
上のはカバーだけど。
僕の使ってるカメラは、EOS40Dだったかな。もう10年前のカメラをずっと使っていた。イメージセンサーにはゴミがついていて影が映るし、オンボロだけど買い換えるだけの熱意は無かった。
カメラとの出会いは小学生か幼稚園くらいのころだろうか。父親のお古をもらってずっと遊んでいた気もする。そこまで熱心という訳ではなかったが、機材は常に持っていたので身近な存在だった。
風景写真は苦手だ。僕は、スナップ写真のが自称得意なのだ。ポートレートは撮ったことがない。モデルになってくれる女の子がまわりにいないから。彼女できたらやってみよう!(いつになるやら)。
一人でドライブをしていると、思い出したくない思い出や恥ずかしかった出来事、漠然とした不安、寂しさがぐるぐるぐるぐる頭をめぐる。
でもアイルランドは、僕を不の輪廻から救い上げてくれた。
道を渡りだす乳牛を見ていれば、普通に大爆笑。愉快愉快。
もう少し海沿いを、もう少し南へ。そういう風に道を選ぶ。地図は見ない。
アイルランドでもずっと車中泊。
一泊目は少し大きい都市のパーキングにとめて車中泊をした。
アイリッシュミュージックが流れているパブに入り、アイリッシュウイスキーを飲んでいたら、香港人の女の子に声をかけられた。拙い英語で会話を楽しむ。これって逆ナンですよね?
地味にテンションあがってたら、アゲアゲの白人が香港ガールをナンパし始めた。あっという間に蚊帳の外。僕は黙って、ウイスキーを飲み干した。
アイルランドまできて何してんだろ。なさけな…。